最近ではPayPay(ペイペイ)をはじめとするスマホ決済アプリで無料送金がメインとなってますが、今回は、銀行間で土日祝日・銀行営業時間外で即時送金できる「モアタイムシステム」について紹介します。この「モアタイムシステム」の登場で、従来のように「平日の15時30分までに振り込まないと!」といったことがなくなりました。私たち消費者に、どんなメリットがあるのでしょうか?今回は、モアタイムシステムの特徴やメリットについて解説します。
モアタイムシステムとは
2018年10月9日から多くの銀行で「モアタイムシステム」が開始されています。が、モアタイム?ピンと来る人は少ないかもしれないです。モアタイムシステムは、銀行間での平日夜間・土日祝日に即時入金ができるシステムです。この「モアタイムシステム」の始動以前は、銀行間の振込は「全銀システム」が平日の8:30~15:30(コアタイムシステム)にしか稼働していなかったので「土日の振込は月曜確認」という扱いでした。この時間の制限をなくして24時間365日の即時振込ができるようにしたものが「モアタイム」です。最近では、やや遅れ気味でみずほ銀行も参加し、2020年9月23日時点で1,172の金融機関が参加しています。この数字はほとんどの金融機関といっていいくらいです。
最近はネットショッピングも主流となり、「モアタイムシステム」をのおかげで即時入金できるようになり、入金する側も入金される側もスピード感のある取引ができます。
銀行間の振込は、各銀行間でお金のやりとりがされているわけではなく、全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)の、「全銀システム」を介して行われています。
【詳細はココから】
同行宛て振り込みは全銀システムを通さない
全銀システムは他行宛ての振込を決済するシステムなので、「同行宛ての振込」の場合は全銀システムは使用されません。「同行宛ての振込」は自行のシステムで対応でます。
「同行宛てに振込」の場合は、15:30を過ぎてからのATMやネットバンキングでも当日中に振込が反映されている可能性が高いです。同じ振込でも即時反映されるものとされないものの違いは、「全銀システムを通す振込かどうか」という違いでした。
送金したい相手が同じ金融機関を利用していれば、即時入金できる場合もあり便利ですが、送金したい相手が自分と同じではない場合が多いので、モアタイムシステムが導入され、他行宛ての振込もすぐに反映されるようになりました。
モアタイムシステムが便利なケース
では、具体的にはどのようなニーズがあるのでしょうか。
一般の会社の経理業務においては銀行の営業時間外での振込をする必要性はあまりないかもしれませんが、ネットショップやヤフオクなどは24時間稼働していて、同時に24時間決済できないといけません。
日本のネット決済の多くはクレジットカードが利用されています。クレジットカードは“立替払い”で便利ですが、年齢や事情によりクレジットカードを持っていない人もいます。
また、店舗側にクレジットカード会社からの売上入金は月2回程度なので、中小企業や個人店舗は、資金繰りの関係から即金のほうが都合がいいでしょう。
ヤフオク!の個人の販売でも、買い手側の「スグに欲しい!」にも対応できます。土日挟んでの出荷なんて期待外れもいいところです。
こうした入金のリアルタイム性が求められる場面では、クレジットカードより銀行入金のほうがメリットがあります。
最近では、ジャパンネット銀行でで口座を作ると、翌日には売上金を無料で振込という施策が中小企業や店舗に支持されているらしいです。
どんな場面でモアタイムシステムが利用されている?
ジャパンネット銀行における、モアタイムの利用も拡大して1年で2倍の普及率になっています。モアタイム利⽤で増えているのは、個人間の取引だけでなく、バスの予約やチケットの売買、キャンペーンのキャッシュバックなど法⼈の利用も拡大している様子です。また、モアタイムは即時の入金ができる点から「給与前払い」などの新たなサービスにも対応できます。いつでも銀行入金される環境が整ったことで新サービスの拡大にも後押ししています。
モアタイムシステムが使える銀行・金融機関
モアタイムシステムに参加している銀行は、2020年9月23日時点では1,172の金融機関が参加していますが、すべての銀行が対応している訳ではありません。
モアタイムシステムへの参加は、各金融機関が任意で決めるので、自分の口座と振込先の金融機関の両方が参加していないと、平日8:30~15:30のしばりは消えません。
モアタイムシステムに参加しているかは、【こちらのページ】で確認できます。
モアタイムシステムに不参加の銀行・金融機関
逆に参加していない金融機関をあげたほうが早いかもしれないので記載しておきます。
モアタイムシステムに参加していない金融機関 | |
地方銀行 | きらぼし銀行 |
第二地方銀行 協会加盟銀行 |
福邦銀行 関西アーバン銀行 福岡中央銀行 佐賀共栄銀行 長崎銀行 豊和銀行 宮崎太陽銀行 南日本銀行 沖縄海邦銀行 |
信託銀行 | 日本マスタートラスト信託銀行 野村信託銀行 日本トラスティサービス信託銀行 資産管理サービス信託銀行 SMBC信託銀行 |
外国銀行 | JPモルガン・チェース銀行 アメリカ銀行 香港上海銀行 ドイツ銀行 ビー・エヌ・ピー・パリバ銀行 コメルツ銀行 |
中央金庫 | 信金中央金庫 |
全信組連 信用組合 |
整理回収機構 山形県医師信用組合 三重県職員信用組合 呉市職員信用組合 福岡県庁信用組合 福岡県医師信用組合 全国信用協同組合連合会 |
農中・信連 信漁協・農協 |
農林中央金庫 |
その他 | ローソン銀行 あおぞら銀行 商工組合中央金庫 外銀のすべて |
モアタイム不参加の銀行は今までどおり
モアタイム不参加の銀行、信用金庫、信用組合からの振込や、モアタイム不参加の金融機関の口座への振込は従来通りコアタイム(9:00〜15:00)の間に手続きされます。
振込元の銀行が24時間振込に対応していても、振込される銀行がモアタイム不参加だった場合はコアタイムの時間にしかお金は入金されません。双方の銀行が参加していないと即時振込ができません。
※モアタイムの設定時間も各金融機関で違うので、そこでズレがあると即時にはなりません。(後述)
例えば2019年5月8日以降、みずほ銀行では24時間振込が可能となりましたが、みずほ銀行で夜間に振込み手続きを行っても、相手先の銀行がきらぼし銀行(モアタイム未接続銀行)だとしたら、振込みの完了は翌日の9時ごろとなります。
今後はモアタイム参加の銀行は増える?
原則24時間・即時に振込できるようになると、急にお金が必要になった時にすぐに送金ができたり、「現金を持ち合わせていない」ときでもその場で精算ができるの日々の利便性は格段に向上します。全ての金融機関が参加すればほぼ24時間に近い時間で稼働できるので今後に期待したいですね。
外銀などは経営判断で接続しないと決定しています。日本の金融機関でモアタイムシステムに不参加の金融機関は、自行のシステム対応の問題や、合併・統合を控えているなどいろんな事情があって「今のところは接続しない」といった銀行が多くあります。
なので時間をおいてモアタイムシステムに接続する可能性が高い金融機関が多いと推測されます。
モアタイムの振込できる時間帯は銀行による
モアタイムシステムを導入している全ての金融機関が、24時間ずっとシステムに接続しているわけではないので注意が必要です。モアタイムシステムは、参加も時間帯も金融機関が任意に設定できます。そのため、金融機関によっては一定の時刻までしか対応していない場合や、メンテナンスのため接続しない時間帯がある場合もあり対応はまちまちです。自分が利用している金融機関にのモアタイムシステムへの接続時間もチェックしておきましょう。下の表では、大手銀行のシステム接続時間を一覧にしました。
表に記載されているのは、あくまでもシステムへの接続時間です。銀行によっては、実際の振込み受付時間と異なる場合があります。
モアタイムシステムにメンテナンスはあるの?
定期的なモアタイムシステムそのもののメンテナンスはありませんが、モアタイムシステムを利用している金融機関のメンテナンスはあります。メンテナンスの時間は金融機関によって異なります。モアタイムシステムを利用できない時間帯は、即時入金ができず、メンテナンス終了後に入金処理が行われます。頻度はかなり低いですが、モアタイムシステムの更新のメンテナンスが入ることもあります。
取引先がモアタイムシステムに不参加だと従来の取引になる
モアタイムシステムの利用は、取引を行う金融機関の双方が参加している場合のみ使えるサービスです。さらに参加しているすべての金融機関が24時間対応しているわけでもありません。自分が使う金融機関が24時間対応でも、振込先が接続時間外だと振込は完了しません。この場合は一旦入金した金額がプールされ、振込先がシステムに接続したタイミングで完了となります。即時入金をしたい場合には、自分が利用する金融機関だけでなく、振込先のモアタイムシステムの参加&接続時間も確認する必要があります。どちらか一方が参加していないと、従来通りの取引しかできません。
モアタイムの手数料は?通常の振込手数料より高くなる場合もある
通常の振込手数料は各金融機関が決めた手数料ですが、モアタイムの時間の手数料は高く設定されているところもあります。
ただ、手数料は金融機関が任意で設定できるので、モアタイムシステムの時間帯でも手数料がかからないところもあります。
モアタイムシステムのメリット
モアタイムシステムが導入されることによるメリットは、夜間や休日でも即時入金ができるようになった点です。これにより、以下のようなことができるようになりました。
- 緊急の振込ができる
- 土日祝日や夜間にネット決済ができる
- 即日の振込融資がしやすい
モアタイムシステムが利用できると、非常に便利な取引ができるようになりました。
土日祝日・年末年始・GWでも振込ができる
これまでは金曜日の15:30以降の振込は、翌週の月曜日まで待たないといけませんでした。月曜日が祝日なら、火曜日まで連休になるとそれ以上待たないといけません。
そんなタイムロスがモアタイムシステムで解消されます。振込手続きの時間や曜日を考えなくてもいいので大きなメリットとなります。
土日祝日や年末年始・ゴールデンウィークにもスムーズな振込のやりとりができます。モアタイムシステムそのものは自分と送金宛の金融機関が参加していればいつでも利用できますが、年末年始やGWになると日時に対応していなければ利用できない可能性もあるので注意はしておきましょう。
カードローンの振込みキャッシングが便利
モアタイムシステムの稼働は、カードローンのサービス向上にも一役買っています。今までのカードローンは、平日14時頃までに振込みキャッシングの手続きをして、翌営業日に振込みされる流れでしたが、モアタイムシステムに参加している金融機関を利用すれば、土日や夜間も関係なく振込みキャッシングの申請を365日、最大で24時間振込みキャッシングに対応してくれます。例えば、プロミスではモアタイムシステムを導入して、24時間振込キャッシングの「瞬フリ」というサービスを提供しています。ただし、モアタイムシステムで24時間の振込みに対応しているカードローンを選んでも、振込指定した自分の銀行がモアタイムシステムに参加していない場合は、翌営業日(銀行営業日)となります。ただし以下の点には注意しなければなりません。
- 全ての消費者金融がモアタイムシステムを利用しているわけではない
- 銀行カードローンは即日融資には対応していない
まとめ
モアタイムシステムの導入で、銀行振込の利便性は大!そさらに、スピーディーな入金・着金が要求されるカードローンなどもさらに便利になっています。
今後もさらにモアタイムシステムに参加する金融機関は増えていくと思われますが、銀行振込を利用して取り引きをする場合は、取引先がモアタイムシステムに対応した金融機関を利用しているかだけではなく、取引先のモアタイムシステムへの接続時間などもよく確認する必要があります。
企業などの大きな振込の場合はこのシステム自体は便利ですが、個人的に利用したい少額の場合はPayPayなどの決済アプリのほうが手数料もかからないので、それらと比べるとまだまだ劣る感じはします。ネットショッピングなどでは、もはや銀行振込よりキャッシュレス決済を取り入れている店舗が多いので、銀行のサービスの存在自体が少し遅れているようなイメージもありますね。